
曳家を利用したリノベーション。曳家とは建物をそのままの状態で移動させる建築工法で、敷地の有効活用や建物の管理などで、建物を作り直せない重要建造物や作り直すより移動させた方が、経済的に有利な場合に、この工法が採用される。今回はこの曳家を利用したリノベーション案の提案を紹介する。この計画案は、現在使用している事務所が手狭になってきたのと、建物の耐震補強を兼ねたリノベーションが要望であった。

当該建物は、新たに都市計画で制定された高度斜線にかかっていた事により既存不適格となっていたが、建物自体は軽量鉄骨で基礎の補強とブレースの追加で、構造的には耐力が見込めた事から、この既存建物を敷地の反対側に曳家で建物を移動して、建物のリノベーションを行う計画を立てた。


建物のリノベーションの計画としては、建物の耐力を上げる事と床面積を増やす事の両方を、解決するアイディアとして、既存建物を包み込むように、新しい建物を増築する。包み込んだ建物が内部の既存建物を支える事によって、耐震補強と床面積の拡大を満たした。予算の面でも、一から建物を作り直すよりかは安い見積が期待できた。

建物インテリアとしては、既存建物の屋根や外壁の不要な部分を取る事が可能となった為、構造フレームを表しとし、天井高さを既存建物よりも高くする事や、個室の面積の拡大も計画する事が可能となった。 既存建物を利用して、その良さを引き出す事によって、クライアントの要望を満たす事が出来た案である。