
大黒湯は京都市東山区の宮川町通り近くに位置し、今も地元市民が利用する昔ながらの大衆浴場である。また宮川町通りのお茶屋街の近くにあることから、舞妓さんも利用されているようである。柳行李や団扇は、この大黒湯ならではの設えであるが、昔から比べると、利用者は少なくなっている。


しかし現在は海外からの旅行客が、観光として入浴されているのが、この時代の流れを感じとれる一面ともいえる。
様々な社会性が刻まれた大衆浴場内は、私の居る時代にピンを打ち俯瞰的に周りを見わたすかのような感覚となる。昔の人間の身体スケールやプライバシーの感覚が色濃く表現された内装を、現在もそのまま使用されている事、そして対人とのコミュニケーションを取る、溜まる場であった大衆浴場(公共施設)は、現在の公共施設にはその要素は含まれていない事など。



このように過去に建てられた建物を体験すると、過去と現在の社会性や価値観などの違いが、手に取るようにハッキリと感じ取る事ができる。 それも銭湯が人を惹きつける魅力の一つなのかもしれない。