建築家との家づくりの上で必要なこと4
耐震等級に関する話

地震が頻繁に発生する日本で、新築住宅を建てるとなると、耐震に関しては誰しもが一度は考える項目であると思う。今回は、地震に対する建物の強度に関する話をしてみたい。新しい住まいを検討されている、歳になると震度の大きさはともかく、誰しもが地震を体感した事があると思う。私は、小学生の頃、大阪で阪神淡路大震災の揺れを体感した。震源地から離れているとはいえ、その揺れの大きさは子供の頃の私にとって、衝撃的で恐怖でしかなかった、そして余震の怖さは、その恐怖を倍増させるかのように襲ってくる。
そんな時に、住宅は人を守るシェルターとなるのか、または人を殺めてしまう凶器となるのか、建築界のノーベル賞に値する、プリツカ―賞を受賞した坂茂氏は、地震で人々が亡くなる原因は、天災ではなく人災であるとまで述べている。日本という地学的に地震が頻発する場所で、必ずいつかは起こる地震に対して、住まいの耐震化は必須である事は、誰しもが理解していると思う。
昨今の大地震において、建物の倒壊件数は50年前に比べると、建築技術の発達や地震に対する成熟した考えにより、倒壊件数は減って来ているが、条件が違う中での比較は果たして、状況把握が出来ているかも解らない。また地震被害を報道で見る度に、まだまだ住まい者としては、地震に対する恐怖や倒壊数には納得がいかないと思われる。
そこで更なる地震に対する考えを深め、現時点での最善の選択を今一度、選択する必要がある。まずは私たちが建築するにあたっての、大きな枠組みである建築基準法について学んでいきたい。
建築基準法の制定趣旨としては、「国民の生命、健康及び財産の保護」である。ではその保護とは、どれくらいの保護を指しているのだろうか。数十年から数百年に一度、来るか来ないかの地震に対して、住宅の耐震にばかり建築費用を充てる事は出来ないだろう、しかし過去に起きた大地震と同規模の地震が発生して、住宅が倒壊してしまうと、国民の生命、健康及び財産の保護とはならない。
そのことから建築基準法は大きな災害を受けた内容を精査し、その都度、法律を更新している。新築する建物に関しては、過去と同じ強さの地震が襲来したとしても、最低限として耐えうる、住まいとしなければならない。しかし建築基準法はもとより気象庁の地震観測が始まったのは、地球の歴史から比べると、ごく最近である為に想定外などの言葉が乱立するのであろう。
そのことがあるから、いつまで経っても不安は解消されないが、政府は建築基準法の範囲外で、任意で耐震性能を上げる事を推進しており、建築費用にかかる負担を軽減するなどの特例などを施し、地震に対するリスクを回避する流れを作っている。その内容である耐震階級2(現行法規の1.25倍)、耐震階級3(現行法規の1.5倍)は、コストを掛けられるのであれば、選択する必要のある内容だと思う。 また耐震方法や考え方に関しては、専門家による今以上の研究により、更なる発展を期待したい。
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